■このブログ内の引用文について

本ブログは、The New England Journal of Medicine Permission Departmentより、「The New England Journal of Medicine本誌からの文単位での引用に許諾は不要」との見解をいただいた上で、運用しております。更に、「文章を抜き出してサマリーを書いてよい」との文言もいただいております。

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Dr. Joy

Author:Dr. Joy
ごく普通の町でごく普通に医者をやってます。
ごく普通の患者さんたちを相手にしていて、
診察室に入ってくる人が英語をしゃべったりするのは数年に1度あるかないか。
そんな私に必要な英語力って何?

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同一表現を追いかける: N Engl J Med 2010;363:1597-1607.
まとまった文章の中で、何度か同じことに言及するとき、日本語でも言い回しをいくらか変化させていきます。
同じように、英文でも表現をちょっとずつ変えていく場合があります。
今回はそんな表現を拾ってみましょう。

下記のタイトルをクリックすると抄録が開きます。

Transcatheter Aortic-Valve Implantation for Aortic Stenosis in Patients Who Cannot Undergo Surgery (N Engl J Med 2010;363:1597-1607.)

今回は「ハテナ表現」は明記されていません。

では、早速抄録を読んでいきましょう。

BACKGROUND

Many patients with severe aortic stenosis and coexisting conditions are not candidates for surgical replacement of the aortic valve. (N Engl J Med 2010;363:1597-1607.)

この下線部の内容が次から何回か出てきます。見ていきましょう。

METHODS

We randomly assigned patients with severe aortic stenosis, whom surgeons considered not to be suitable candidates for surgery, to standard therapy (including balloon aortic valvuloplasty) or transfemoral transcatheter implantation of a balloon-expandable bovine pericardial valve. (N Engl J Med 2010;363:1597-1607.)

ここでは「外科医が判断した」と、主語が明確に記載されています。方法を述べているので「誰が」というのは必要な情報だからです。

RESULTS

A total of 358 patients with aortic stenosis who were not considered to be suitable candidates for surgery underwent randomization at 21 centers (17 in the United States). (N Engl J Med 2010;363:1597-1607.)

ここでは再び、主語が隠れていますね。ただ、"were not considered to"があるので、背後に誰かがそのように判断したのだ、というニュアンスは残っています。

CONCLUSIONS

In patients with severe aortic stenosis who were not suitable candidates for surgery, TAVI, as compared with standard therapy, significantly reduced the rates of death from any cause, the composite end point of death from any cause or repeat hospitalization, and cardiac symptoms, despite the higher incidence of major strokes and major vascular events. (N Engl J Med 2010;363:1597-1607.)

ここでは"were not considered to"が消失しています。書き出しの"not candidates for surgical replacement of the aortic valve"を受けた形だからでしょうか?あるいは、もう「判断者」を省略してもいい結果である、と考えたからでしょうか?

いかがでしたか?表現の変化を見て、あれこれ想像してみるとおもしろいですね。

NEJMのサイトはThe New England Journal of Medecineで見られます。abstractは無料で閲覧できますから、どうぞ。
抄録の日本語版は南江堂サイトへ。

お読みいただき、ありがとうございます。あなたのお役に立てましたでしょうか。
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今回、題材となっているTAVI、その分野が専門じゃないとなかなかイメージがつかめませんね。
NEJMのサイトでは、そのTAVIをわかりやすくビデオで説明しています。
インタラクティブなサイトならではの内容だと思います。

ただし、購読者でないと見られません。
確認しましたが、NEJM Appでも購読者以外は視聴できませんでした。
一定の期間が過ぎたらアーカイブとして公開するといいんじゃないかなあ、って思いました。

テーマ:医学英語 - ジャンル:学問・文化・芸術

ABSTRACT | 07:01:56 | Trackback(0) | Comments(6)
コメント
手術適応
Aortic Stenosisの手術不適応はガイドライン上にもある程度記載されていて、循環器外科だけでなく内科でも判断が可能なのですが、一流誌ではだれが判断したとMethodsに明記しないとだめなんですね。さすがNEJMです。2流3流になっていくに従ってMethodがあやふやな論文を散見します。ちなみに当院では麻酔科が最終判断をしてます。
(PS・一度でいいからNEJMに投稿できるような論文を書いてみたいです)
2010-10-24 日 12:48:15 | URL | Taka [編集]
なんだか似たようで、、、それを変えなければならないのが難しいですね。
いくつかパターンを覚えておけばいいですか?
2010-10-24 日 23:58:47 | URL | 関節鏡のファンタ慈雨s多 [編集]
手術適応の決定者
Takaさん、コメントありがとうございます。手術適応の決定者は、内科医、外科医、麻酔科医の可能性があるのですね。確かに、悪性疾患と違いますから、手術適応となるかどうかは術中の循環動態が安定に保てるかどうかに依りますね。そうなると麻酔科医が判断する、ということになりますね。勉強になりました。そういう観点からもう一度読み直すと、新たな気づきも生まれそうです。
NEJMに論文投稿する手始めとして、CORREPONDENCEとか、あるいはもうちょっと敷居の低いNOW@NEJM(NEJMが運営しているブログ)へコメント投稿あたりどうですか?
2010-10-25 月 06:31:46 | URL | Dr. Joy [編集]
実は変えない論文もあります
関節鏡のファンタジスタさん、こめんとありがとうございます。
実は、こうした表現変換(パラフレーズ)を使わず、同じモノで押し通している論文も少なからずあります。ただ、文章表記上、少し変換していった方が格が上がりますし、また今回のように、文のバックグラウンドとして文体を変える(例・主語を明確に書く)ことが必要な場合もあるかと思います。動詞を名詞にしたり、能動と受動を変えたり、そのあたりで十分ですよ。
2010-10-25 月 06:39:04 | URL | Dr. Joy [編集]
同じ表現
同じ意味の単語を、同じ表現で、論文を通して使っていると読み手に稚拙な印象を与える反面、その都度表現を変えるとなにやらこんがらがるような・・・。いつも悩んでいたのですがDr. Joyさんのコメントにあるようにマイナーチェンジで十分なんですね。勉強になりました。ところでJoyという名前は女医からきているのですか?同級生だった妻がたまにJoy会に参加しています。怖くて参加した事はありませんが・・・。
2010-11-01 月 06:10:25 | URL | Taka [編集]
ご明察!
Takaさん、いつもコメントありがとうございます。
科学論文は実利主義でいいと思います。ですから、表記の変化はできる範囲で構わないのではないでしょうか?
Joyについては、Takaさんの予想通りですよ。女医なのでJoyとしました。単純な発想なんですが、「楽しく英語論文を読む」というjoyにもつながるので、自分では気に入ってます。私の母校には「女子医学生と女医の会」というのがありました。でも、参加したことはないんです~(参加している先輩が、超怖い人だったので。ナイショですが。)。
2010-11-01 月 19:37:08 | URL | Dr. Joy [編集]
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