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本ブログは、The New England Journal of Medicine Permission Departmentより、「The New England Journal of Medicine本誌からの文単位での引用に許諾は不要」との見解をいただいた上で、運用しております。更に、「文章を抜き出してサマリーを書いてよい」との文言もいただいております。

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ごく普通の町でごく普通に医者をやってます。
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メラミンミルクの検討: N Engl J Med 2009;360:1067-74.
重大な健康障害を引き起こした食物汚染として、中国のメラミンミルクは記憶に新しいところです。
The New England Journal of Medicine March 12号の最初の原著論文はメラミンミルクに関する内容です。
下記のタイトルをクリックすると抄録が開きます。

Melamine-Contaminated Powdered Formula and Urolithiasis in Young Children (N Engl J Med 2009;360:1067-74.)

今回の「ハテナ起点」はここ。

... though the clinical manifestations and predisposing factors are incompletely delineated. (N Engl J Med 2009;360:1067-74.)

では早速、読んでいきましょう。

BACKGROUND

A recent epidemic of melamine contamination of baby formula in China has been associated with the development of urinary tract stones, though the clinical manifestations and predisposing factors are incompletely delineated.
(N Engl J Med 2009;360:1067-74.)

predisposing  罹患しやすくなる
delineated 輪郭を描く 
 文意は「完全に全容をつかみきれていない」ということでしょう。

METHODS

We administered a questionnaire to the parents of children 36 months of age or younger who were being screened for a history of exposure to melamine and symptoms of, and possible predisposing factors for, urinary tract stones. (N Engl J Med 2009;360:1067-74.)

symptoms of, and possible predisposing factors for, urinary tract stones
 ちょっと変わった構成の文です。symptoms of urinary tract stonesとpossible predisposing factors for urinary tract stonesという意味になります。

RESULTS

Preterm infants were 4.5 times as likely to have stones as term infants. (N Engl J Med 2009;360:1067-74.)

Preterm  早産の
term  満期産の

CONCLUSIONS

Prematurity and exposure to melamine-contaminated formula were associated with urinary stones. (N Engl J Med 2009;360:1067-74.)

Prematurity  未熟児であること

 この抄録では主として一次情報が取り扱われています。本文を読めば書いてあるのかもしれないのですが、なぜ、未熟児がメラミンに影響されやすいのかが興味あるところです。
Aspirinさま、ご指摘ありがとうございました。本文(全文、freeです)を通読した結果、未熟児とメラミン曝露の有無の間に相関関係があるとは書かれておりませんでした。事象として、
尿路結石とメラミン曝露、尿路結石と未熟児、はそれぞれ相関がある、ということでした。
 ひるがえって、抄録のCONCLUSIONSの部分を再読してみます。確かに、上記に記載したような正しい内容がPrematurity and exposure to melamine-contaminated formula were associated with urinary stones. (N Engl J Med 2009;360:1067-74.) なのですが、なぜ、読み違えてしまったか、を考えてみます。読み手は「メラミン曝露で尿路結石が発症した」ということに強い関心を持って読み進めていきます。その先入観から、「未熟児に尿路結石が多い」という事実までもメラミンに結び付けてしまいます。読者の不注意といえばそのとおりですが、しかし、抄録中の焦点がぶれていることにも一因があるように思います。RESULTSで当該事実は述べているのですから、あえて、CONCLUSIONSで未熟児のことについては触れなくてもよかった(その方が、誤解を生じない)のでは、と思います(あくまで、個人的意見です)。

NEJMのサイトはThe New England Journal of Medecineで見られます。abstractは無料で閲覧できますから、どうぞ。

抄録の日本語版は南江堂サイトへ。


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テーマ:医学英語 - ジャンル:学問・文化・芸術

ABSTRACT | 06:37:01 | Trackback(0) | Comments(3)
コメント
こんにちは、はじめまして。わたしはちょっといまは臨床を離れて研究所で研究をしているものです。

>この抄録では主として一次情報が取り扱われています。本文を読めば書いてあるのかもしれないのですが、なぜ、未熟児がメラミンに影響されやすいのかが興味あるところです。

というところに興味があって本文をつまみ読みしてみました。この「なぜ」に答える解析が行われているわけではなく、discussionですが、

>Gilsanz et al.5 reported that preterm infants were more susceptible than term infants to the development of urinary stones not related to melamine, possibly owing to a combination of immature renal function and differences in the regulation of mineral homeostasis.

ということなので、そもそも未熟児は尿路結石をつくりやすいということで、メラミンが特に未熟児に尿路結石をおこしやすいというわけではないのではないかという見解でしょうか。

とてもすばらしいブログですね。もしよろしければ今後も拝見させていただきたいと存じます。
2009-03-13 金 11:08:17 | URL | Aspirin [編集]
連続投稿ですいません。わたしも読み違えていました。ロジスティック回帰モデルの話ですので、今回の未熟児が尿路結石発症と関連しているという結果は、「メラミン含有ミルクの有無で調整後も、未熟児には尿路結石が多発する」と解釈すべきですね。つまりもとの結果からも、メラミンが未熟児に特に尿路結石を起こしやすい、とは言っていないようです。

未熟児にメラミン関連の尿路結石が起こりやすいかどうかはこの両者の交互作用項を検討すべきでした。ただ著者らも指摘しているとおり、この後ろ向きのモデル自体に限界があります。正確には前向きにやるべき・・・ってやるやつはいないですね。余計なコメントでした。すいません。
2009-03-13 金 11:17:45 | URL | Aspirin [編集]
Aspirinさま、貴重なご指摘とコメント、ありがとうございます。
私も本文を読んでみました。ご指摘のように、「メラミン曝露未熟児で尿路結石が多い」とは書かれていませんでした。今回の検討では、対象未熟児数が全数で36、そのうち、尿路結石が確認されたものが7、疑われるものが7、ということなので、これを更に、メラミン曝露群と非曝露群に分けるとなると数が少なすぎて、何かを言うことは難しいでしょうね。
ブログ本文を訂正、加筆しました。よろしければまたご覧ください。

更に、あたたかいコメント感謝いたします。ぜひまた、おいでください。コメント、感想、なんでも大歓迎です。今回のように、内容について突っ込んだお話をしていただくと、私も大変勉強になります。ありがとうございました。
2009-03-16 月 13:24:04 | URL | Dr. Joy [編集]
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