■このブログ内の引用文について

本ブログは、The New England Journal of Medicine Permission Departmentより、「The New England Journal of Medicine本誌からの文単位での引用に許諾は不要」との見解をいただいた上で、運用しております。更に、「文章を抜き出してサマリーを書いてよい」との文言もいただいております。

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Dr. Joy

Author:Dr. Joy
ごく普通の町でごく普通に医者をやってます。
ごく普通の患者さんたちを相手にしていて、
診察室に入ってくる人が英語をしゃべったりするのは数年に1度あるかないか。
そんな私に必要な英語力って何?

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アブストラクトを考える
このブログでは、主としてThe New England Journal of Medicine掲載の原著論文アブストラクトを読んで、勉強しております。
もう、かれこれ半年ばかり、読んでおりますが、たかだか250語ばかりの文章とはいえ、本当にいろんなことに気づかれされます。

そんな中、外山滋比古さんの書かれた「思考の整理学」(ちくま文庫、1986年)に興味深い記述を見つけました。
「情報の”メタ”化」と題されたエッセイの中で、「アブストラクト」について、

個々の研究の具体を伝えるのではなく、どういう研究かを抽象化して記載した文献なのである。情報を整理してまとめたものが、アブストラクトである。(「思考の整理学」、p.76)

とj書かれています。さらに、

いわゆる論文は、一次的情報であってはならない。第二次的情報でもなお昇華度が不足である。第三次的情報であることを必要とする。(同、p.76)

とあります。ここでいう「一次的情報」とは外山さんのことばを借りれば、「もっとも具体的、即物的な思考、知識」であり、「第二次的情報」とは「その同種を集め、整理し、相互に関連付けた」もの、「第三次的情報」は「これをさらに同種のものの間で昇華させた」もの、となります。

この外山さんの定義は人文学的領域にとどまらず、理化学的領域の論文にも適用されるものではないでしょうか。
NEJM掲載のアブストラクトにも、ただ事実のみを並べているもの、事実を基にして自分たちの主張を明確に述べているもの、など様々なものが見られます。論文の査読者によっては、「著者らの主張部分」に対して恐ろしく執拗に追及してくる人もいるので(なぜ、そんなことが言えるのか、そう考えるにふさわしい事実はあるのか、それはあなたの個人的な感想ではないのか、などなど)、そのやりとりに倦んで、主張部分を削除してしまったということも十分推察できます(投稿している者としては、一刻も早く、acceptしてもらいたい、という弱みがありますから)。その気持ちもよくわかるのですが、ただ「疑問、研究、わかった事実」だけではやはり、深みがないし、それを読んだ人に新たな研究の灯は灯さないのでは、と危惧されます。

「たかがアブストラクト、されどアブストラクト」です。
ただ単にアクセプトされることを目指したものではなく、自分の疑問から発した研究成果を世に問う、という気概のある論文を期待します。

外山滋比古さんの「思考の整理学」について、flowrelaxさんが書評を書かれていますので、どうぞ。

メタノート 「思考の整理学」

NEJMのサイトはThe New England Journal of Medecineで見られます。abstractは無料で閲覧できますから、どうぞ。

抄録の日本語版は南江堂サイトへ。


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テーマ:医学英語 - ジャンル:学問・文化・芸術

感想 | 06:34:37 | Trackback(1) | Comments(2)
コメント
ご紹介ありがとうございます
Dr.Joyさん、こんにちは。

ブログでのご紹介ありがとうございます。

論文のアブストラクトは内容を集約したものになっているので、とても勉強になると思って私も活用しています。

おっしゃる通り、医学系の論文でアクセプトされるためには3次的情報よりも情報の整理、関連づけなどの2次的情報が求められている気がします。

論文の提出にとどまらずもう一歩先に進むためにも、2次的情報をさらにメタ化して3次的情報に昇華し、自分の中にとどめておくのが理想かもしれませんね。
2009-02-12 木 13:11:56 | URL | flowrelax [編集]
医学系論文アブストラクト
flowrelaxさん、コメントありがとうございます。
科学系論文を3次的情報に昇華させるのはなかなか難しい技だと思います。が、研究過程で得られた視点や視座のずらし方などは3次的情報になりうる素材ではないでしょうか。
2009-02-13 金 06:42:20 | URL | Dr.Joy [編集]
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思考の整理学
本書は初版が1986年の古典的名著ですが、読んでみると現在の学習本に書かれているようなことの多くを含んでいます。 効果的な学習理論は20年... 2009-02-12 Thu 12:48:08 | メタノート

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